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言の葉の裏【鬼滅の刃】冨岡義勇

第15章 星空の下で


恋人がする接吻。当然のことながら、治療での口移しとは全く違う。
角度を変えながら、何度も優しく押し当てられる義勇の温かい唇。ついばむように…包み込むように…義勇は琴音への愛しさを口付けに込める。
初めて味わうその幸福感と心地よさに琴音は頭がぼんやりとしてきた。

突然「きゃっ」という小さな叫びと共に、義勇の腕から琴音が消えた。え、と義勇も驚く。
力が抜けた琴音は屋根から滑り落ちそうになっていた。咄嗟に義勇が彼女の隊服の首根っこを掴んだ。

「お、おい!」
「びっ……くりした、屋根の上だっての忘れてた」

琴音は目をパチクリさせながら義勇を見た。義勇が、やれやれといった感じで彼女を引き上げる。折角のいい雰囲気が見事に台無しである。

「はぁ……まったく…お前は……」
「ごめん、ありがと」

義勇は琴音をその胸にぎゅっと抱きしめた。

「本当に目が離せないお転婆だな」
「……すみません」
「いつも俺を驚かせる」
「振り回してばかりだね」
「昔から、ずっとそうだ」
「そうだね」


「でも、俺はいつでもお前の側にいてやる、……琴音」


腕の中で琴音が息を飲む。初めて下の名で呼ばれ、弾かれるように顔をあげた。
そこには、優しく微笑む義勇がいた。男前という言葉はこの男の為に存在するのではないかと琴音は思った。

「だからお前は……ずっと俺の側にいろ」

そう言うと、またそっと唇を合わせてくる義勇。琴音が落っこちないように、しっかりと腕に力を込めながら。


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