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言の葉の裏【鬼滅の刃】冨岡義勇

第14章 修行


昼餉に近い朝餉を食べると、二人は道場へと向かった。

「よろしくお願いします」

琴音は深々と頭を下げる。なんだかんだで自分は教えてもらう身だ。しっかりと礼を取った。
見慣れない彼女の袴姿に多少の胸の高鳴りを感じていた義勇も、道場に入ると雑念を払って集中していく。

「顔色が悪い。今日は見取り稽古だけだ」
「わかった。型、見せて。覚える」
「ああ」

琴音は正座し、その正面で義勇が技を出す。

「壱ノ型、水面斬り」

丁寧に技を出して、壱から順に見せてくれる義勇。それはまるで天上人が舞を舞っているかのような美麗な姿だった。琴音はしっかりと目に焼き付けていく。

拾まで見せてもらった琴音が口を開いた。

「参をもっかい見せてくれる?動きが複雑だね」
「流流舞いに動きの定石はない」
「確かにそんな感じだね。他のも曲線的な動きのものが多い」

義勇は流流舞いをもう一度見せてくれた。

「綺麗」
「?」
「あ。いや、すっごい綺麗だなって」
「…………そうか」
「見とれちゃうね。いけない、いけない」

ふふっと、力なく笑う琴音。久しぶりに彼女の笑顔を見た。

「拾は回転力を利用する連撃なのかな」
「そうだ。回数を重ねることで威力が上がっていく」
「目ぇ回っちゃいそう」
「目標物を見失わなければ回らない」

一度見ただけでほとんど技の特性を理解している琴音に、義勇は感心した。一つの呼吸を極めているので当然かもしれないが、飲み込みが早い。

「確かに真逆だね。炎は力を利用した直線的なものが多いから。これはなかなか難しいかも」
「水は変幻自在だ。力まずに流動性を利用するんだ」
「わかった」

義勇の助言で琴音は頷く。やってみたい、と体がうずく。それを義勇は敏感に察知した。

「今日は駄目だぞ」
「……わかってるよ。瞑想に留める」
「そうしろ」
「ありがとう、冨岡」
「ああ」

義勇が刀を収めると琴音はぺこりと頭を下げた。

「俺は仕事に行く」
「昼だけど。任務報告?」
「ああ。ここは好きに使え」

そう言って義勇は道場から出ていった。


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