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言の葉の裏【鬼滅の刃】冨岡義勇

第13章 慟哭


「早速、いい?」

琴音が立ち上がろうとする。
しかし、それを義勇が制した。

「……冨岡?」
「……………」

義勇は腕組みをしたまま琴音を見つめ、琴音は怪訝そうな顔で義勇を見た。

「なにか、」
「まずはゆっくりしろ」
「………え」

義勇から心配する様子がわかり、琴音は少し驚いた。

「お前、ずっと寝ていないだろう」
「…………」
「食事もしてないな」
「…………」
「だいぶ……痩せた」
「………………」

その優しい声に、彼女は目を伏せる。

「そんな弱りきった身体で鍛錬はさせられない」
「大丈夫だよ」
「駄目だ」
「でも……」
「駄目だ。稽古は明日からだ。今日は休め」

「大丈夫だってば!!」

琴音は叫ぶようにそう言って立ち上がった。

「嘘だ」
「嘘じゃないもん!!」
「なら気付いていない大馬鹿者か」
「違う!!」

琴音は義勇を睨みながら見下ろした。

「私は強くならなきゃいけないの!誰よりも強くならなきゃいけない!!」
「焦るな」
「大事な人が死んじゃう前に、私は早く、強くならなきゃいけないんだ!!!」
「落ち着け」
「早く稽古つけて、冨岡」
「駄目だ」
「何でよ!」

義勇は彼女の手をぐっと引いた。彼に力を入れられると、琴音は自分でも驚く程に力が入らずに、ぺたりと座り込んだ。義勇は琴音の前に座り直した。

「いいか。お前は、お前が思っている以上に疲弊している」
「…………」
「何もかもを抱え込みすぎて気付いていないだけだ」
「…………」
「落ち着け。焦るな。しっかり呼吸をしろ」
「と…みおか……」

……カカエコミスギ?何を?

琴音は脳がふわりと浮遊しているような感覚に囚われた。ぼんやりと目の前の義勇を見つめる。


「煉獄が死んでから、お前は周りばかりを気にして自分を置いてきぼりにしてきた。違うか」
「……わかんない」
「煉獄の父親、弟、炭治郎、皆の支援役に回って、一番大事な己の心を殺した」
「…………」
「…………」
「だって……」
「…………」
「…………」
「大丈夫だ。……話してみろ」
「……っ、だって……」

琴音は顔を伏せ、身体を震わせる。
義勇は彼女の頭にそっと手を置いた。

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