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言の葉の裏【鬼滅の刃】冨岡義勇

第13章 慟哭


「お館様には俺から伝える。近々、柱合会議でお前のことが話されるだろう。会議の前に呼ばれるかもしれぬがな」
「はい」
「とりあえず、冨岡のところで修行をしてこい」
「はい」
「ニつ目の呼吸は、必ずやお前を今より強くして、助けてくれるだろう」
「はい。でも、私は炎の剣士です」
「わかっている」
「だって、炎の方がかっこいいですから」
「それは間違いない」

二人は少し笑い合う。

「炎柱、夜月琴音」
「はい」
「我が息子の跡を継ぎ、越えてみせよ」
「精進致します」

そう言うと、槇寿郎は立ち上がって道場から出ていった。

一人残された琴音は少しの間動けずにいた。


……私が、柱

即断即決の琴音。その場で引き受はしたものの、本当に良かったのかと思う。

まだ十七歳。
力量は杏寿郎に及ばない。
煉獄家の者でもない。
おまけに刀は水色。

果たしてこんな自分が名乗って良い称号なのだろうか……


琴音はそっと目を閉じた。
心を鎮めながら、炭治郎が言っていたことを思い出す。


“どんなに苦しくても、今の自分が出来る精一杯で前に進む”


そうだよね、炭治郎くん
その通りだよね
頑張ることしかできないんだから
やることは一つだよね


琴音はそっと目を開いて、誰もいない道場で呟いた。

「杏寿郎さん。私、頑張るよ。あなたに胸を張れるように。炎柱の名を汚さないように。もっと強くなるから……見守っていてね」


杏寿郎が、あの優しい笑顔を見せた気がした。


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