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言の葉の裏【鬼滅の刃】冨岡義勇

第13章 慟哭


「え……」
「お館様からもそのように言われている。杏寿郎の後はお前が継ぐんだ。技を見たが、炎柱として申し分ない」
「そ、そんなはずありません!私が炎柱になどなれるはずがない!どうかしてる!」
「していない」

座っていた腰を上げ、前のめりになって琴音は拒否する。

「確かにお前は煉獄家の者ではない」
「それに私は……」
「刀も水色だ。そんなことは承知している。その上での決定だ」
「どうして」

とてもじゃないが琴音は了承できない。至急柱が必要だというのなら、他にも甲はいるのだから。

「私は杏寿郎さんのようにはなれません」
「ならなくていい」
「え、」
「何故なら、杏寿郎は鬼に破れ、死んだからだ」
「…………」

琴音は静かに槇寿郎を睨む。

「いかに師範といえど、杏寿郎さんを侮蔑することは許しません」

「していない」
「なら何故そんなことを言うのです!」
「事実だからだ」
「…………」
「杏寿郎は炎の呼吸をもって上弦と対峙し、破れた。炎柱という炎最高位だったにも関わらずな」
「……………」

琴音はまだ槇寿郎を睨みながら、黙って彼の話を聞く。

「だから、お前なのだ」
「…………?」
「お前はおそらく水の呼吸を使える。炎よりよほど使いやすいだろう」
「えっ……」
「冨岡の元へ行け」
「なっ!嫌です!私は炎の呼吸で、」

琴音が言い返すと、叫ぶように槇寿郎が言葉を被せてきた。

「炎では上弦に勝てないんだ!!!」

「――っ!」
「杏寿郎は強かった!それでも破れた!死んだ!歴代炎柱も皆破れた!!心を鍛え、技を磨いてきたが、それでもこうも容易く命を奪われるんだ!!!」
「師範……」

槇寿郎は悔しそうに顔を歪める。
それは、最近までの飲んだくれ親父の顔ではなかった。

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