第13章 慟哭
そして
その日は突然やってきた
義勇の鴉、寛三郎が、俯き加減に報告を伝える。
「炎柱、煉獄杏寿郎ガ……死ンダ」
義勇は目を見開く。
高齢の寛三郎は時折伝令を聞き間違える。これもそうなのではないか。そうであってくれと願う。
しかし、至極しょんぼりとする彼の様子からして、これは間違いではないのであろう。
杏寿郎の顔が、声が、言葉が、義勇の脳裏に映った。
「…………そうか」
心の中は整理がつかない程数多の想いが巡っているのに、義勇の口から出たのはその一言だけだった。
そして。
義勇は彼女を想った。
………夜月……
お前はこの報を聞いてどうしている
泣き崩れているのか
絶望しているのか
心が、壊れてしまってはいないか……
義勇は葬儀の日程などを聞き、動揺を抑え込んで目の前にある仕事に集中をし直した。