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言の葉の裏【鬼滅の刃】冨岡義勇

第12章 年下の男の子


三人の眼の前で抜かれた琴音の日輪刀。
その刀身は深い水色だった。

「え……」
「確か、琴音さんの呼吸って炎なんじゃなかったでしたっけ。煉獄さんのところで修行をしてるって言ってましたよね」
「うん。言ってました。あはは」

「お前、本当は水なんじゃねえのかよ」
「そうだね」

「なんで?!なんで自分の適正の呼吸を使わないのさ!水なのに炎なんて、逆じゃん!」
「まあね」

「育手が炎だったんですか?」
「それもあるけどね」

「でも、呼吸を変えることだってあるんだし、日輪刀で適正がわかったならそれに合った修行すればいいのに」
「うん、でもね……」

琴音は日輪刀をじっと見つめる。

「私は炎の呼吸が好きなの。炎は力を主体にした呼吸だから女には向かないけど、それでも私は炎がいい」
「琴音ちゃん……」
「向いてないなら、それ以上に頑張るしかない。私は、私に向いてるものじゃなくて、私がやりたいことを頑張るの。命を賭けて」

刀の柄をぎゅっと握る琴音を、三人の少年たちが見つめる。自分に合わない呼吸を使いながらここまで強くなった彼女を、純粋に凄いと思った。彼女のこれまでの努力はとんでもないものだったと想像出来る。


「善逸くんは、きれいな雷の刀だよ。呼吸とぴったりだね」
「……うん」
「剣士に向いてないとも思わないよ」
「………うん」
「普通に考えれば私より強くなれる」
「…………うん、そうだね」

善逸は涙を拭いた。
琴音はニコリと笑って刀をしまう。

「お前、凄いんだな」
「まあね!えっへん!」

「なんで呼吸を変えねぇんだよ」
「言ったでしょ?炎が好きなの」
「なんで好きなんだよ。本当は使いにくいんだろ」

伊之助が琴音に聞く。彼は納得がいかないようだ。
琴音は伊之助に向けて語った。

「炎の呼吸は、私の命そのものだから。先代の炎柱、煉獄槇寿郎様が小さかった時の私を助けてくれたの。師範が居なかったら私は生きていない。その時の炎が私の目に焼き付いて離れないんだ。私はあんな剣士になりたいの」

それは、義勇も初めて聞く話だった。
彼女の刀が己と同系なのは知っていたが、彼女がここまで深く語らなかったからだ。

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