第12章 年下の男の子
蝶屋敷で炭治郎たちの機能回復訓練が始まると、研究の合間に琴音も鍛錬の手伝いをしていた。
今まで基本的に年上とばかり一緒にいた琴音。そんな彼女にとって、炭治郎たちとの関わり合いは面白かった。
年上たちからずっと可愛がられてきた琴音は、ここぞとばかりに彼らを可愛がりたいのだが、彼らも男としてのプライドがあるようで、時折つっぱねたりする。それがまた面白くてしかたない。
「もう!琴音さん!子ども扱いしないでください!」
カナヲに薬湯をぶっかけられてびしょ濡れになってしまった炭治郎の髪を拭く琴音の手から、炭治郎は手拭いを奪い取る。手拭いで自分の髪を乱暴に拭いた。
「えー、腕だるいでしょ?お姉ちゃんが拭いてあげるのに」
「いいですっ!!自分で拭けます!」
「またまた。そんな意地張っちゃって。可愛いなぁ」
「可愛く…ないですっ!!」
炭治郎は頬を染めて叫び返す。
そんな様子も可愛くて仕方がない。
「ふふ、頑張ってるねぇ、炭治郎くん」
琴音は炭治郎たちの病室に入り、彼の寝台側の椅子に座った。炭治郎は自分の寝台に座る。
「全集中常中、難しいです。全然出来ない」
「そんなことないよ。少しずつ時間が長くなってきてる。ちゃんと成果は出てるから続けることが大事だよ」
「はい」
「ここが限界だー!ってところから、あと二つ頑張ろうって思ってごらん。一つだと弱い。なんとか頑張ってあと二つそこから伸ばせるようになるとグンって上がるから」
「はいっ!」
炭治郎が大きく頷いた。
「いいお返事!本当に君は可愛いなぁー!!」
琴音が炭治郎の頭を撫でると、炭治郎は頬を染めて嫌がった。