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言の葉の裏【鬼滅の刃】冨岡義勇

第11章 那田蜘蛛山


「どこか痛いところとかない?大丈夫?」

手拭いで顔を拭いてやって確認をする。
村田は胸の前で琴音の羽織を合わせながら、大丈夫だと頷いた。毒液を飲んでいるかもしれないので、解毒剤を一包飲ませる。

「その羽織、持ってていいからね」
「いいのか?」
「いいよ。全裸よりはマシでしょ。体、冷えちゃう。隠が来るまでじっとしてるんだよ」
「……ありがとう」
「無事でよかった」

琴音は羽織と手拭いを村田に渡したまま立ち上がって走っていった。
村田は半泣きで彼女を見送った。みっともないところを見られたが、琴音に会えて不安が少し減った。薬をもらえたし、何より彼女の温もりが残った羽織を借りられた。村田は、小さくなって座り込みながら琴音の着物をギュッと掴んだ。



途中で転がっている怪我人を手当しながら奥へと進んでいくと、人の声が聞こえた。なにやら揉めているような感じの声に、聞こえてくる方へ向かって走り出す。

声の先には四人いて、緑色の市松模様の羽織を着た子どもが女の子を抱えて走り去るところだった。

あれ、あの女の子……気配が……

そして、彼らと共にいるのは見知った二人。

「水柱様!蟲柱様!これは一体どういう……」

琴音が声をかけると、彼女に気が付いた義勇としのぶが同時に叫ぶ。

「夜月!あの二人の逃亡を援護し、守れ!」
「琴音!彼らを追撃し、鬼の方を倒してください!」

「えっ…、どっち?!」

困惑する琴音。上官からの異なる指令。
二人を追おうとするしのぶを阻む義勇。それにに対して攻撃を繰り出すしのぶ。柱同士の戦いが始まった。

琴音にわかることは、これはただ事じゃないということのみ。
とりあえず、琴音は走り去っていった子どもたちを追いかけることにした。


……あの男の子の方、酷い怪我してた


義勇の言う『援護』でもなく、しのぶの言う『討伐』でもない。
一瞬見えただけだったが、少年が怪我をしていると判断した琴音は、『治療』という選択をして彼らを追いかけた。


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