第22章 呪い合い、殺し合い、
「は?」
「……虎杖?」
「どうしたの?」
伏黒となずなの声にハッと意識を戻すと不思議そうにしている面々と目が合う。
まずい、
今の話は天使に勘付かれるとまずい……気がする。
「……ちょっと、具合悪いかも……」
苦し紛れに出た言い訳だったが、これを押し通すしかない。
「来栖、横になりたいからソファ譲ってくんない?」
「いいですよ」
二つ返事で場所を交代し、伏黒の向かいに座った来栖は上機嫌で伏黒を見つめるが、視線を向けられた伏黒の方は疑問符だ。
一方、高羽となずなはソファに腰を下ろした虎杖を心配そうに見ている。
「ハライタ?」
「いや……」
高羽の質問に対して首を横に振り、虎杖は考える。
何かねぇか?
天使に知られずに伏黒や渡辺に宿儺が堕天だと伝える方法……
こういうのは早い方がいい。
かといって間違って捉えられたら困る。
そしてごく短い時間で考えた末に……
虎杖は横になるどころか立ち上がって両手を大きく広げる。
伏黒となずなは驚き、高羽は思わず「HG!?」と声を漏らしたものの、来栖は気づかない。
いける、と確信した虎杖が動いた。
これでいいのか微妙だが、広げた両手をパタパタ動かして“堕天”を表現し、
今度は両手の親指で自分を差すことで虎杖自身の中であることを示し、
最後に前髪を掻き上げ、人差し指で頬をなぞって“宿儺”だとアピール。
虎杖はそのジェスチャーを繰り返して懸命に伝えようとする。
早く伝わってくれ!
来栖がこっちを気づかない内に!