第22章 呪い合い、殺し合い、
今度は伏黒が質問する。
「天使の術式で受肉した泳者を受肉前の状態に戻せるか?」
「無理とは断言できないが、九割九分死ぬ。受肉とは呪物と肉体の融合でもあるからね。都合よく片方だけ引き剥がすのは難しい」
その言葉に虎杖は初めて宿儺の指を飲み込んだ翌日のことを思い出した。
五条から執行猶予付きの死刑を言い渡された時のことだ。
俺が死ねば宿儺も死ぬってのもそういう理屈だもんな……
「元に戻したい人がいるのか?残念だが役に立てそうもない」
「いや、天使に解いてほしいのは獄門疆と呼ばれる特級呪物の封印だ」
「成程、呪物の封印ならば可能だろう」
天使の回答を聞いた虎杖と伏黒はお互いの拳を軽くぶつける。
そして伏黒は両手の指を合わせるように手を組んだ。
順調だ……!
これで五条先生も復活する。
順調すぎて怖いくらいだ。
しかし、そう思い通りにはいかないところで、
「だが、先にこちらに協力してもらう。獄門疆の封印を解くのはそれからだ」
「!!」
天使の要求に虎杖となずなは瞠目し、伏黒が尋ね返した。
「まさか、受肉した泳者を全員殺すのを手伝えと言うのか?」
「そこまでがめつくはないさ。1人だけ受肉した泳者の中になんとしても屠りたい者がいる」
天使が1000年前から追っている者だ。
「“堕天”。この泳者を殺すことができれば、君達への協力は惜しまないことを約束する」
次の瞬間、虎杖の意識は内側へ引き摺り込まれ、巨大な骨が横たわる空間―宿儺の生得領域が広がっていた。
嫌悪をさらけ出して目の前に宿儺をきつく睨む。
「何の用だよ。こっちはテメェの面見るだけで胸糞悪ィんだ」
「クックッ、馬鹿が口を滑らせる前に教えてやろうと思ってな」
「?」
「“堕天”は俺だ」
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