第36章 断章 傍迷惑な贈り物
「これならカバーを外さない限りは大丈夫だろ」
「うん、ありがとう……!」
捨てることなく、かといって置き場所にも困らない最良の案になずなは満面の笑顔を浮かべる。
それにつられるように伏黒の口角も少し上がった。
やはりなずなの笑顔には勝てない。
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後日―……
あのクッションの贈り主から伏黒に電話がかかってきた。
『例のクッション、活躍してる〜?』
伏黒の眉間に皺が寄る。
「活躍する訳ないじゃないですか。なずなのこと、困らせないでください」
『あれ?その口振りだと捨ててないの?』
「……捨てました」
『嘘はよくないね。いやぁ活躍してるんなら嬉しい限り、』
ブチッ
苛立ちのあまり、最後まで聞き終える前に電話を切ってしまう。
次に出たのは大きなため息。
本当に余計なお世話だ。
イライラを紛らわすように伏黒は家路を急いだ。
帰宅してドアを開けると、なずなが出迎えてくれる。
「恵くん、おかえりなさい!」
彼女のその一言と穏やかな笑顔に嫌な気分は一瞬でどこかへ行ってしまった。
―了―