第22章 呪い合い、殺し合い、
「来栖に聞きたいことはそれだけじゃない」
伏黒が疑問に思ったのは来栖の姿に関するものだ。
背中にある翼に頭の上に輝く光輪、天使としか言えない格好は作り物などではない。
それに虎杖となずなの口から出てこないことから2人もまだ聞いていないのだろう。
「俺達は“天使”と呼ばれる泳者を捜してる。だが“天使”の居場所は東京第2結界と聞いていた。来栖は“天使”なのか?だとしたら何故俺達を助けた?何故東京第1結界にいる?」
「来栖さん、恵くんが目を覚ましたら教えてくれるって言ってましたよね?」
なずなも伏黒に重ねるようにして尋ねる。
すると、
「“天使”は私だよ」
その声は来栖とはまた別の……
「女の子にそう矢継ぎ早に質問するもんじゃない」
来栖の左目のすぐ下に現れた口がそう答えていた。
「!」
「あ、おそろい」
虎杖も宿儺が勝手に話す時には身体のどこかに宿儺の口が出てくるため、他3人より驚きは少なかった。
天使は更に続ける。
「まず君達……厳密には君を助けた理由だが、華は君を以前……」
「あぁーっ!?」
淡々と語り出したその口を慌てて来栖が塞いだ。
「行き倒れになりそうな人を助けない理由があって!?」
「良い奴だなー」
言い訳する来栖に対して呑気に感心する虎杖と高羽。
なずなはもう来栖から理由を聞いていたのでそれを伏黒に明かさないのかと目を丸くしていた。