第22章 呪い合い、殺し合い、
虎杖の着替えを待つ間、なずなは伏黒が眠っていた時のことを簡潔に伝え、思い出したようにあ、と声を出した。
「それにね、高羽さんもいるんだよ」
そこへタイミングを見計らったかのように7と印字されたビニール袋を持った高羽が帰ってきた。
「お、起きたか伏黒少年!腹減ってるだろ!色々かっぱらってきたぞ!」
「ピノ!!」
「チョコミントありました?」
その声にいち早く反応して出てきた虎杖に続き、来栖もアイスクリームを受け取る。
なずなにモナカアイスを手渡すと、高羽は不思議そうに首を傾げた。
「おー、電気がまだ通ってる店ならむしろ冷凍食品の方が生き残ってるぜ。なずな嬢と出た時もそうだったけど、なんで停電してねぇのかな?」
「知らないんですか?」
木のスプーンを咥えてチョコミントアイスの蓋を外した来栖が説明する。
「そもそも地震じゃないから勝手に止まるわけではないし、呪霊は建物より人を襲いますからね。漏電とかのリスクは確かにゼロではないけど。取り残された人のことを考えて結界の外からの電力供給は止めないことになったんですよ」
まだピンと来ていない様子の高羽に来栖は呆れた視線になった。
「高羽さんは結界の外で泳者になってますよね?ここに来るまでニュースとかで聞きませんでした?」
「俺、ニュースとかあんま見ないから……」
「大人の無邪気は邪気ですよ」
自分が眠っている間、たった2日程でなぜ3人ともここまで打ち解けているのか、
未だについていけない伏黒も口を開く。
「羂索が死滅回游の妨げにならないように上層部を通して決めたのかもな。とりあえず便所と風呂へ行く。大体はなずなから聞いたけど、その間に状況をまとめておいてくれ」