第7章 日々是特訓
「この前、コイツらに襲われたんだ。コミュニケーションもバッチリとれたし、こっちの富士山みたいなヤツは領域展開も会得してた」
「襲われたって、大丈夫だったんですか?」
「珍しい。恵、心配してくれてんの?僕最強だから大丈……」
「いえ、周りが」
ピシャリと伏黒が遮る。
この教師の心配なんてするだけ無駄だ。
「うーん、そうだねぇ……巻き込まれた人間はいないし、ちょっと道路が崩れて森が焼けちゃったくらいかな。それもほとんど呪霊のせいだし」
大したことではないと肩をすくめる五条に周りからはまたもや呆れたため息が。
いつもの飄々とした教師の態度に、生徒達は緊張感もない。
「ちょっと、ここは緊張するとこじゃない?みんな大物なんだか、ただ抜けてるだけなのか」
「アンタに言われたくないわよ」
大体緊張感もなにも、ヘラヘラ教師に下手くそな似顔絵を見せられ、特級と言われてもピンと来ない。
加えて襲撃されたのに易々と返り討ちにしてるのなら尚更だ。
「真面目な話、これから先このレベルの呪霊がウヨウヨ出てくるかもしれないから、みんな早く強くなるんだよ」
襲撃してきた呪霊の話ぶりだと、同等級の仲間がいると考えた方が自然だ。
生徒達がこの呪霊達に遭遇したとき、必ずしも五条がそばにいられるとは限らない。
「……じゃ、僕は用事があるから」
そう言って五条はグラウンドを後にした。
3人とも確実に強くなってきている。
交流会でビックリさせるためにも悠仁の特訓にさらに力を入れなければ。
あの少年院から生還した1年生3人がどんな思いで交流会に向けて打ち込んでいるか、その思いをよそに五条は零れる笑みを隠しきれなかった。