第22章 呪い合い、殺し合い、
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……なずな嬢が笑ってくれない。
なずなと共に外に出た高羽はあの手この手で彼女を笑わせようとしていたが、てんで効果はなく、なずなの思い詰めた表情は変わらなかった。
どんなネタなら笑ってくれるのかと頭を捻っていると……
「ご、ごめんなさい。高羽さんが気を遣ってくれてるのに……」
なずなも自分が落ち込んでいるから笑わせようとしてくれていることを察して申し訳なさそうに肩を落とす。
痛々しさすら感じるその姿に高羽は慌てて手を振った。
「そんなことは気にしなくていいんだぞ、面白いと感じられないなら笑わなくていい!無理に笑われる方がツラいからな」
それにこの試行錯誤は自分のネタを増やすためにも役立つと笑いかけてポジティブを貫く。
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結局なずなを笑わせることができない内に2人は近くのドラッグストアに着いた。
しかし、
「なんてこったい!」
「そんな……!」
そこは既に荒らされ、店内の商品は粗方略奪された後だった。
包帯や水、食品はもちろん薬や電池等ももぬけの殻。
キッチン用品や清掃用品は残っているが、使えそうなものは何もないという有様だ。
高羽は思わず頭を抱えて天を仰いだ。
勘弁してくれ、これじゃあただでさえナナメななずな嬢のご機嫌がますます傾いてしまう!
「なずな嬢?諦めずに他の場所を探そう。まだ荒らされてない所がきっとあるはず……」
そう提案した高羽の前を無言で通り過ぎ、なずなは足早に店の奥へ向かう。
「なずな嬢〜、無視しないで〜」