第22章 呪い合い、殺し合い、
「いい加減にしてください。あなたがずっと寝ないとこっちも気を遣わなくちゃならないんです」
ダンッとサイドボードに手をついた来栖だった。
「ご、ごめんなさい。でも私は大丈夫です」
「でもじゃありません。そんな辛気臭い顔でいられたら恵が起きた時にも心配をかけます。恵は優しいですから。彼にいらない心配をかけさせるくらいなら今休むべきです」
痛い程正論を突かれ、なずなは何も言えなくなる。
返す言葉が見つからず俯き、膝に置いた手をぎゅっと握って正直に不安を打ち明けた。
「……横になっても、眠れないんです。もしこのまま恵くんが目覚めなかったらってずっと考えてしまって……」
「だからそれが恵に心配をかけさせる元なんですってば」
「わ、分かってます。でも自分じゃどうしようもなくて……」
口を引き結び、目に涙を浮かべるなずなに来栖もお手上げだ。
「なずな嬢、ちょっと息抜きに外に行かないか?」
「で、でも……」
「いいじゃないですか、行ってきてください。もうそろそろ薬とか替えの包帯も切れてきますし」
「!、分かりました」
伏黒の手当に影響するとあっては迷う訳にはいかない。
なずなはスッと立ち上がって真っ直ぐ外へ向かい始め、高羽が慌ててそれを追いかけていった。