第22章 呪い合い、殺し合い、
ある寒い日、そこに犬が現れた。
ふわふわの白いしっぽの犬。
私を見て少し歩いて、立ち止まって振り向いてくる。
私がじっと見ていると、戻ってきてまた同じことを繰り返す。
ついてこいって言われているようだった。
怖そうな感じはしなかったから、黙ってついていくと、外に出ていた。
どこかも知れない田舎の小さなバス停で大人が見つけてくれるまでずっと一緒に待っててくれた額に三角模様のある白い大きな犬。
「あー、んだよ!女の子が1人で!年長さんくらいじゃねーかぁ?随分ボロボロだから、はよお巡りさんよこしてくれ!!」
私を見つけて電話してくれているおじさんにはなぜか見えていない不思議な犬。
「じょーちゃん腹減っとるかー?」
公衆電話からおじさんが出てくるとその犬は突然走り出してしまった。
走って行くのを目で追いかけてバス停の裏にある道に出るとその先に自分と同じくらいの男の子がいた。
黒いツンツン頭の男の子。
犬はその男の子に駆け寄ってその子に撫でられていた。
「モテちゃうかもよ?」
「……」
隣にいたサングラスをかけた背の高い白い髪のお兄さんにグリグリと頭を撫でられて男の子は不機嫌そうな顔をしている。
その子の名前は知らない。
初めて見たから。
……けれど、この先ずっと忘れることはないと確信したんだ。
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