第22章 呪い合い、殺し合い、
「……なんで来栖の許可がいんの?」
「なんでもです!彼は私の運命の人なんですから!!」
来栖はムキになって言い張る。
探し求めてやっと見つけたのに既に別の誰かのものになっていたなど到底信じ難いし、何より伏黒に怪我をさせたとあっては相手としてふさわしくない。
そして来栖の“私の運命の人”発言に即座に反応したのは高羽だ。
大仰に身を引いて全身で驚きを表現する。
「ぬぁにーっ!?なずな嬢に恋のライバル現る!?これは黙ってられないんじゃないか?」
なずなとて来栖の宣言をおとなしく聞いているままではいられなかった。
「め、恵くんは私の大事な人です……!」
「そんなのより私の運命の方が上です。私は彼を想い、10年探し続けてきたんです。あなたはただのぽっと出でしょう?」
じゅ、10年!?
「な、長さは勝てないですけど想う気持ちの強さは負けません……!」
「その気持ちとやらはどれくらいの強さなんですか?」
「それは……」
なずなは懸命に言い返すが、慣れない口喧嘩に控えめな性格も手伝ってすぐ劣勢に立たされてしまう。
「大体、あなたはその大事な人にこんな大怪我させたんですよ?私だったら絶対にこんな風にはさせません」
「うぅ……」
「渡辺、負けないで〜!」
真っ向から事実を突きつけられ、しゅんと俯いてしまうなずなを虎杖が励ましていた。