第22章 呪い合い、殺し合い、
「着きました。ここです」
言った通りのホテル前に辿り着いた来栖が上空から降りてくる。
さすがにホテルの窓は人が出入りできるほどは開かないため、素直に入口を使うらしい。
中に入ると空調が利いており、暖かい空気にホッとする。
自分達以外には人がおらず、静まり返っている以外はいたって普通のホテルロビーだ。
自動ドアや照明、空調も動いていることから電気も通っている。
用心する虎杖やなずなを先導するように来栖は低飛行しながら階段へ。
それを見た高羽は思わず声を上げていた。
「エレベーター使わないの?」
「追跡者がいた場合、私達がどの階で降りるかバレてしまいますからね」
追跡の他に考えられるのは待ち伏せからの奇襲。
さらに別の危険もある。
「それにいつ・どこで戦闘が起こるか分かりません。たとえこの近くで起こらなかったとしても別の場所の戦闘で停電、エレベーターに閉じ込められる可能性もあります」
いずれにしてもある程度状況判断ができ、場合によっては戦闘もできる階段の方が安全という訳だ。
「……ちなみに何階なの?」
「最上階ですが」
「えっ」
「だから最上階です」
「階段で?」
「ええ」
さも当然だと言わんばかりに頷いた来栖はガーンと衝撃を受ける高羽を置いてさっさと階段を上っていってしまう。
ただし、飛んでいるため足は使わない。
「私と彼だけなら屋上から行けるのでもっと早いんですけどね」
棘のある言い方をしてなずなを一瞥し、プイッとそっぽを向く。