第22章 呪い合い、殺し合い、
「伏黒が空飛んでるのが見えたからこっち来たんだけど……あれ誰?」
「来栖 華さん。今、あの人が拠点にしているホテルに案内してもらってるの」
来栖は飛行したままこちらを振り向いて虎杖と高羽を順繰りに見た後、なずなに問いかけた。
「お仲間ですか?」
「はい、虎杖くんは私達と一緒にこの結界に入ってきて、高羽さんは結界に入った直後に助けてもらいました。2人とも味方です。……あの、一緒に連れて行っていいですか?」
「いいですよ、部屋はたくさんありますし」
「伏黒は怪我してんのか?」
虎杖が前を飛ぶ来栖を追いかけながら口を開いた。
「うん……高羽さんと私が見つけるまで1人で複数人を相手にしてて……それなのに領域展開までして……勝ったことは勝ったけどすぐに気を失っちゃって……」
悲痛そうに眉を寄せ、キュッと口を引き結んで涙を堪えるなずな。
それを見てまずいと思った虎杖はすぐに話題を切り替えた。
「にしてもまさか渡辺が高羽と知り合いだとは思わなかったわ」
「結界に入った直後に逸れちゃったでしょ?私、その時呪霊に襲われて……高羽さんが助けてくれたの」
「あのカッコびっくりしなかった?」
虎杖は高羽のコスチュームが誰を模しているのかすぐに分かったのでそこまで驚きはしなかったが、なずなにとっては自分よりかなり年上の、しかも非常に際どい格好の男だ。
「さ、最初はすごく驚いたよ。びっくりして叫んじゃった。今はだいぶ慣れたけど……」
それでもまだ右半身を直視することはできない。
虎杖となずなの視線を受けた高羽はグッと親指を立て、ニッコリ笑う。
「なずな嬢から特大ボリュームの黄色い声援を受けちゃ頑張らない訳にはいかなかったよね!」
「特大ボリュームの黄色い声援って……」
それは黄色くないだろ、と苦笑するしかなかった。