第22章 呪い合い、殺し合い、
なずなが歩き出そうとしたその時、上からひらひらと羽根が舞い落ちてきた。
……こんな所に羽根?
なんで?
鳥でもいるのかと不思議に思い空を見上げると、いつの間にか女性がいる。
眩い金色の髪に美しい翠玉の瞳、何より目を引くのは背中にある一対の羽と頭の上に輝く光輪。
なずな達の目の前に文字通りの天使が降り立とうとしていた。
「天使……?」
ふわりと地上に降りてきた女性は頭上の光輪と背中の羽以外は特に変わったところはない。
ゆっくりとなずなに目を向け、背負われている伏黒を見る。
「ふぅ、やっと見つけました。私の運命の人」
「運命の人?」
「あなたではありません。気絶している彼です」
「!」
どういうこと?
恵くんと天使は知り合い?
……でもそれなら天元様から天使の話を聞いた時点でそう言ってくれるはず。
あの時は心当たりはなさそうな感じだった。
それじゃあそもそもこの人は天使ではなくて、ただ恵くんの知り合いということ?
でも天元様は見れば天使かどうか分かると言っていたから、それを考えるとこの人は天使の可能性が高い。
それに“運命の人”って……?
「あなたは誰なんですか?天使という術師ですか?」
「私は来栖 華。厳密には違いますが、おおよそあなたが思い浮かべている天使で間違いないかと」
そう言って来栖は手を差し出してくる。
「さあ、彼をこちらに渡してください」