第22章 呪い合い、殺し合い、
後ろからドサリと音がしてなずなが振り返ると、伏黒が倒れているのが目に入り、慌てて駆け寄る。
「恵くん!大丈夫?……や、やっぱり体育館で少し休もう?見張りは私がするから」
「駄目だ。早く離れねぇと戦闘の音を聞いた奴らが寄ってくる。今の俺達は格好の的だ、見つかれば戦いは避けられない」
そう言って立ち上がろうとする伏黒に肩を貸し、なずなはゆっくり歩き出す。
自身の疲労もあって伏黒は気付いていないが、なずなの胸の内は不安でいっぱいだった。
私は平気だけど恵くんが傷だらけ、そんな状態で領域展開までして呪力もない。
早く休める場所を探さないと……!
でも……
私、ちゃんと探せるかな?
ここがどこかも分からないのに……
死滅回游が始まってから10日以上経ってるから、居心地のいい場所は多分どこも人がいる。
せっかく休めそうな所を見つけても誰が潜んでいるか分からない。
私は玉犬みたいに遠くから敵の探知はできないし……
何もできない自分になんとも言えない苛立ちが募り、なずなは無意識の内に歯噛みしていた。