第22章 呪い合い、殺し合い、
レジィを倒した後、負傷していないなずなが体育館の周辺に他の泳者が来ていないか確認して2人は外に出ていた。
「……大丈夫、この周囲にはまだ他の術師は来てないみたい」
「任せきりになっちまって悪い……」
「こんなの全然負担じゃないよ。恵くんこそ怪我の具合はどう?ちょっと休憩しなくても平気?」
「ああ、それよりここから離れるのが優先だ」
「……分かった」
満身創痍の伏黒にどうしても心配が前に出てきてしまうが、本人がそう言うのなら止められない。
頷いたなずなは周囲を警戒しながら歩き出した。
それについていく伏黒の足取りはおぼつかない。
クソッ、視界が揺れる。
だいぶ血は止まってきたけど呪力も空っぽ……
こんなところを誰かに襲われたらまずい。
黄櫨の爆撃、レジィの体術、斬撃に乗用車を影に落とされたことによる重量ダメージ。
戦闘中はあまり気にしていられなかったこれまでの蓄積が今になってどっと押し寄せてきた伏黒は、前を歩くなずなについていくのに精一杯だった。
そしてそれも長くは保たなかった。