第22章 呪い合い、殺し合い、
「……違う、オマエはいつの時代の」
「このコスチュームは!」
過去の術師か、現代の術師なのかを聞き出そうとする黄櫨を遮り、盛大に勘違いしたままの高羽は宣言する。
「俺に初めて“爆笑”を教えてくれたヒーローを模したものだ。このコスチュームに懸けて、スベるわけにはいかんなぁ!」
両脚を開いて腰を落とし、両手を握り込む。
そのコスチュームのせいで見えてはいけない場所がポロリしているが、幸い伏黒の影になってなずなからは見えない。
「さっき考えたギャグだ。意中の子の前で披露するといい」
「何かくるぞ!」
警戒したレジィがレシートを取る。
「余計なお世Wi-Fi!!」
開いた右脚を前に出し、両手を大きく広げて決めポーズ。
レジィと黄櫨は呆れかえり、
伏黒も痛い奴だと目をそらし、
なずなは呆気に取られて言葉も出ない。
白けた空気がその場に抜け、どこからともなく木の葉が飛んできた。
「クソ客がぁあああ!!」
絶叫した高羽は青筋を浮かべてレジィ達を指差す。
「いるんだよ!オマエらみたいに子宮に笑顔を忘れたくせに劇場の最前列に座るような客!!」
「アンタの問題だ」
思わずツッコミせずにはいられなかった伏黒はどことなく東堂と同じニオイを高羽から感じていた。