第34章 断章 酒宴にはご用心
「すんませーん!水ください」
すかさず虎杖がお冷を注文するが、店員が持ってくるまでなずなと伏黒の攻防は続き、水を飲んでようやく落ち着いたと思ったら、
「お腹空いた……」
ぐぅぅ……
今度は腹の虫が鳴いた。
なずな以外の3人は料理も頼んで食べていた一方で、なずなは伏黒に甘えているだけだったのでお通しくらいしか口にしていなかったのだ。
普段であれは多少食いしん坊なくらいなので夕食には全然足りていない。
「ほら、どれ頼むんだ?」
伏黒に手渡されたメニューをのろのろと眺めて少し悩んだ後、
「おにぎり、お茶漬け……あと、焼きおにぎり……」
なんと米ばかり注文し、伏黒が本当に全部食べられるのかと念押ししても「食べられるもん」の一点張り。
酔うとより頑固になるのか。
そして料理が並べられると、宣言通り1人で全部平らげてしまった。
満腹になったなずなは今度こそ眠くなり、こっくりこっくり舟を漕ぎ始め、それを見た3人も今夜はお開きにすることに決める。
「伏黒、送り狼するんじゃないわよ」
「しねぇよ。完全に寝てるし」
「……むにゃむにゃ……」
「じゃ、またな〜」
なお、3人は二日酔いを心配していたが、翌朝にはなずなを酔わせていたアルコールはすっかり抜け、問題なく任務に向かっていった。
―了―