第22章 呪い合い、殺し合い、
高羽の勢いはなおも止まらない。
「でも俺は!そんなオマエらも見捨てない!だって俺は!!」
芸人だもん……!!
突如黄櫨の顔面に高羽の飛び蹴りがめり込み、吹っ飛ばされた。
高羽以外の全員が目を見張る。
飛び蹴りする素振りなど全くなかった。
予備動作もなく戦闘慣れしている黄櫨が反応できないスピードで蹴飛ばされたし、呪力出力も今までとは段違い。
黄櫨のすぐ隣にいたレジィも一瞬何が起こったのか理解できなかった。
早い……!
呪力が跳ね上がった。
出力のブレが半端じゃないな……
謎の闖入者は単なる馬鹿ではないらしい。
それに2対3、
クソガキ君にダメージが入っているとはいえ、女のガキの方は術式も分からない。
「気をつけろ。俺は暴力肯定派の古いタイプの芸人だぜ?」
逆立ちしながら起き上がる高羽に挑戦的な笑みを向けられる。
対してレジィも片目をすがめて睨み返した。
そして、
「麗〜美〜」
物陰に隠れて逃げようとしていた麗美を呼び止める。
「君の騎士サマがちょーっと困った状況だ。麗美なら助けてくれるよね?」
「レジィ様……」
流し目をくれてやると、素直に出てきた。
盲目的な女は扱いやすい。
まずは麗美を使って女のガキを引き離して術式を探りながら時間稼ぎ。
どうせ点を持っていないのだから麗美が殺されても支障はない。
その間に俺と黄櫨でふざけた半身男とクソガキ君の相手かな。
「女の方を引きつけておけ。俺達がアイツらのどっちかを殺すまで時間を稼いでほしいんだ」
「……でも怖そうな刀、持ってるよ?」
「大丈夫、麗美が危なくなったら助けに行くよ」
「ほ、本当……?」
「俺のこと信用できないの?」
それらしく麗美の手を握れば容易いもので、大きく首を振って従順になる。