第22章 呪い合い、殺し合い、
そんな様子の2人をよそに高羽は今か今かと期待の眼差しを伏黒に向けている。
おそらく伏黒がなずなの名を呼ぶまでしつこく迫られるだろう。
容易に想像できる上に想像するだけでかなり鬱陶しい。
それに伏黒自身も好きな彼女の苗字しか呼べないことを気にしていたのも事実だった。
なんでこんな突き抜けてふざけた奴に促されてなんだという不満はひとまず置いておき、背後のなずなに向き直り、小さく息を吸う。
「なずな」
「!」
「その……離れ離れになることが予想できなくて悪かった。なずなこそ無事で良かった」
思っていた以上にすんなり名前を口にできたが、ポッと赤くなったなずなにつられて伏黒も顔に熱が集まるのを感じる。
だが余韻もそこそこに外野から囃し立てる声が。
「ヒューヒュー!やったな、なずな嬢!」
「うるせぇ……」
そして2人の再会など何の感動も覚えない、むしろ敵が増えて人数的に不利になり面倒すら感じている者達も。
「黄櫨、やれ」
レジィの指示で黄櫨が自分の前歯を伏黒達に向けて投げてくる。
咄嗟に伏黒がなずなの前に出て庇おうとするが、
「おおーっと!!」
「高羽さん!?」
それより早く高羽が割って入り、頭部に爆発を受け、思わずなずなが声を上げていた。