第22章 呪い合い、殺し合い、
これまで襲撃に次ぐ襲撃を受けているだけに伏黒の警戒心は高まるばかりだ。
だが伏黒が睨んでも高羽にはてんで効いていない。
それどころか両手をグッと握り込み、何やら力説してきた。
「なずな嬢はここに来るまでメチャクチャ頑張ったんだぞぅ!迷子になって心細かったろうに大ウニ退治、その後もずーっと伏黒少年を探してたんだからな」
「えっと、でも高羽さんが協力してくれたから、私、メチャクチャという程は頑張ってない、かな……」
「何言ってるんだ、なずな嬢が教えてくれなきゃ俺は毒ガスが充満する中で死んでいたかもしれなかったんだ。言うなれば命の恩人、手助けしない訳ないだろう!」
「で、でも高羽さん、あんまり毒ガス効いてなかったですよね?」
「そーだったかな〜?」
今思い返してみれば一番毒ガスの濃いはずの呪霊のすぐ近くに飛び降りて声も出していたのにピンピンしていた。
しかし高羽は大雑把にはぐらかしてビシッと伏黒を指差す。
「ともかく!頑張った上に更に勇気を出して好きな男の名を呼んだなずな嬢にはご褒美があってしかるべきじゃないか?他ならぬ君からの!ご褒美が!!」
異様に高いテンションで迫ってくる高羽に伏黒は内心戸惑った。
本当に何なんだコイツ。
なんでこんな奴が死滅回游に?
あまりに意味不明すぎて敵味方の判断をする以前の問題だ。
「た、高羽さんはいい人だよ、私を助けてくれたのも本当。その……格好はあんなだけど……」
伏黒の困惑を感じ取ったなずながフォローするが、それも彼女が騙されているんじゃないかという猜疑に変わってしまう。