第22章 呪い合い、殺し合い、
鵺について走っていき、ようやく戦闘の現場が見えてきた。
呪具を持つ伏黒の視線の先には短冊のようなものを束ねた蓑に身を包んだ長髪の男と上裸にオーバーオールを着た男。
前屈みになった上裸の男が伏黒に向かって口をすぼめている。
何かしようとしてる……?
「!」
不審に感じたなずなが更に目を凝らすとプッと何か吐き出した。
ここからじゃ小さすぎて分からない……
でも……!
危険を直感したなずなは反射的に鬼切を投げつけていた。
狙いを過たず鬼切は吐き出された何かを弾く。
それで防げたと安堵したのも束の間、ボンッと音を立てて爆発したのを見たなずなは息を呑んだ。
「!?」
「おぉっ、ナイススロー!」
そんな高羽の声もなずなの耳には入らない。
な、何、今の……?
すごく小さな爆弾?
それを口から吐き出して……?
もしかして少し前に聞こえた爆発音はあれだったの?
あの時の爆発は今のより大きかった。
そんな攻撃を生身で2度も食らったら……!
不安を募らせたなずなは思わず声を張っていた。
「恵くん!無事!?」
高羽から名前呼びのことを言われた時に感じた気恥ずかしさなどなく、自分でも驚くほど自然に口に出せていた。
なずなの声に振り向いた伏黒は頭から血を流した痕が。
ああ、やっぱり……!
2対1の不利な状況で戦ってたんだ。
相手は……
伏黒に爆弾をぶつけようとした上裸の男と紙束を着た男を睨む。
近づいて初めて分かったが、紙束は全てレシートや領収書だ。
何故そんなものを全身にまとっている?
高羽に勝るとも劣らない奇抜な格好が目を引く。