第22章 呪い合い、殺し合い、
なずなは爆発のあった所へ一直線に走っていた。
近づくにつれて複数の術師の気配を感じてくる。
1対1で戦っている気配ではない。
少なくとも3人はいる。
更に集中して何人いるのか確かめようとすると、頭上から鷹とカラスの鳴き声が混ざったような特徴的な声が降ってきた。
「鵺!」
見上げると臙脂色の翼を広げた鵺がなずなを先導するように旋回し、なずな達が向かっていた方角へ飛んだ。
「あの鳥、相当デカいなぁ!」
「あれは伏黒くんの式神です。やっぱり伏黒くんが戦ってたんだ……」
安堵より先に心配や不安の色を浮かべるなずなの顔を見た高羽が調子のいい声をかける。
「お!じゃあ感動の再会だな!なずな嬢、覚えているか?伏黒少年に会ったら、まずファーストネームだぞ」
「なっ!?い、今はそんなこと言ってる場合じゃ……!」
「むしろ今しかないってタイミングだと思うけどなぁ。こういうのは思い切りが大事ってもんだ。それにこれを逃したら他に言うタイミングある?」
「え、……うーんと……」
名前呼びするタイミングと言われると確かに思いつかない。
告白して付き合うことになったら……とか?
でもそれならもうタイミングを逸してしまっている。
普通がどうなのかとかは知らないし、そもそも普通という基準があるのかも分からない。
走る足は止めずに考えるなずなに高羽は畳み掛ける。
「だろ?再会してしばらく後じゃ、余計にチャンスを見つけるのが大変だぜ?もうここはガツンと言っちゃえ、言っちゃうしかない」
「ガ、ガツンと……?」
「そう、ガツンと!」
力強く頷いて力説する高羽を見ているとそうだと思えてくるから不思議だ。