第22章 呪い合い、殺し合い、
「あーあ、点もったいな。術式出す前に殺されてりゃ世話ないよ」
上から聞こえてきた残念そうな声の方に目を向けると、レジィと黄櫨が傘に掴まってフワフワと降りてきていた。
降りてきたのはこの2人だけ。
麗美はリタイアか……?
だとしてもまだ2対1。
一番無防備に攻撃を食らった箇所がズキズキと痛む。
クソッ、初めの爆撃が効いてる。
逃げは論外……!
領域を使うべきか?
だが俺の領域は未完成、結界を閉じて相手を封じ込めることはできない。
逃げられて領域出し損、呪力を大幅に消費した状態で再戦なんてパターンが最悪だ。
若干朦朧とする頭で考えていたのが隙になってしまった。
黄櫨が自ら折った奥歯を吐き出してくる。
どこかに隠れようにもここには遮蔽物が何もない。
咄嗟に身を伏せようとしたその時、
カンッ
伏黒の視界の横から何かが飛んできて黄櫨の奥歯を弾き飛ばした。
あらぬ方向へ飛んだ奥歯はそこで爆発し、爆風で奥歯を弾いた細長い何かが伏黒の足元に転がってくる。
刀だ。
それは伏黒も見慣れている、彼女の持つ鬼切……
何故ここに……?
「恵くん!無事!?」
「!」
つい数時間前に聞いたのに久しく感じる彼女の声。
だが、その口からは初めて聞く自分の下の名前。
振り向くと、こちらに駆け寄ってくるなずなとその後ろにやけに満足そうな笑顔の右半身半裸の不審者がいた。