第22章 呪い合い、殺し合い、
「用がなくなったら殺して点に変えればいいしな」
彼女の使い方について伏黒が皮肉ってもレジィは表情を変えずに人差し指を立てるだけ。
「ナニイッテルンダ、ソンナワケナイダロ」
しかも片言、どうとも思ってないのだろう。
そしてそれを隠す気もない、と。
だが、麗美は胸の前で手を合わせてうっとりと熱弁してきた。
「レジィ様は本物の私の騎士なの。私が尽くす限り、私を守ってくれるの」
「めでたい頭だな」
囮役に使ってる時点で使い捨てる気しかないのが見え透いているというのに、彼女にはそれが見えないらしい。
伏黒は再びレジィに目を向けて尋ねた。
「オマエらとその仲間の得点を合わせたら100点いくか?」
「……そりゃね」
それを聞き、もしこの場に2人がいたら絶対にしないであろう提案をする。
「近々ルールが追加される。泳者間での点の移動を可能にするものだ。オマエらの点、全部よこせ。そうしたら仲間になってやらんこともない」
「残念、交渉決裂だ」
伏黒が渾を差し向けようとしたその時、背後の部屋から新たな術師が飛び出してきた。
髪を後ろでひとつにまとめている上裸の男ー針 千鈞の左手の指先は鋭く尖り、爪というより刃物を思わせるそれで真っ直ぐ伏黒の頭を狙ってくる。
しかしその手は空を切った。
その場から伏黒がいなくなったことに針の動きが一瞬止まり、不意に視界が浮き揺れる。
「!?」
針が足元へ目を向けると、影から出てきた伏黒が針を持ち上げており、そのまま下へ投げ落とされる。
「鵺」
レジィに手出しさせないよう渾を差し向け、落下する針に上から飛来した鵺の電撃を叩き込んだ。
麗美が廊下から身を乗り出して針が落ちた先に目をやる。
上から飛んできたのは麗美が伏黒を襲撃した時にもいた。
あの鳥、ずっと出しっぱなしにしてたのね……!
「おい」
低い声に振り向くと鋭い殺気を放つ伏黒と目が合い、声が出せなくなる。
「……っ!」
「二度とその面見せるな」