第22章 呪い合い、殺し合い、
「どこの部屋だ?」
「角を曲がって奥の部屋。待って、鍵がないの」
10階まで上がり、鍵を探し始める麗美に呆れていると、ふと人の気配を感じる。
術師の気配だ。
ここに上がるまで気づかなかった。
相当気配を消すのが上手い。
伏黒が警戒しながら角を曲がると、全身に紙の札を蓑のように纏った髭面の長髪男が立っていた。
「……オマエ、日車か?」
「日車?あー……残念ながら俺はレジィだ」
レジィは肩をすくめてみせる。
「君、騙されたの」
その一言で伏黒は瞬時に理解した。
このレジィという男と麗美はグルだ。
麗美は襲撃を装って回游に入ってきた泳者をここに連れてくる役割だったということ。
殺気を隠すこともせず背後の麗美を睥睨する。
「なにその顔、全ッ然怖くないんだけど。言っとくけど、レジィ様はマジで強……」
「喋るな。時間の無駄だ」
一段と低く、怒りの滲む声色に麗美は反射的に口を噤んだ。
伏黒は再びレジィを睨む。
コイツら最初から日車の居場所を教える気なんて無かったな。
新宿というのも嘘の可能性が高い。
伏黒が素早く影絵を作ると、足元の影から渾が現れた。