第22章 呪い合い、殺し合い、
先程の攻撃で破れた左袖を引きちぎった虎杖にガベルを向け、更にその柄を長く伸ばして構える。
全力で潰す……!
日車の攻撃は更に勢いを増すが、呪力が使えないと知った虎杖も割り切って防御ではなく回避に徹し、得物が長くなったことで広くなった間合いの内側へ入り込むとガベルの柄を掴んで日車を投げ飛ばそうとする。
が、投げる前に掴んでいたガベルが消されてしまった。
後ろに跳んで間合いを取った虎杖が舞台上の浴槽を蹴りつけ、日車がそれを叩き割ると水飛沫が。
水と一緒に飛んできた陶器片を咄嗟にガードすると、その後ろから大きく振りかぶった日車。
そして虎杖の何倍も巨大化したガベルを叩きつけられた。
あまりの威力に虎杖が立っている舞台の床が抜ける。
だが、床が陥没してもなお虎杖は持ち堪えていた。
「!、凄いな!」
思わず日車の口から感嘆が出る。
まるで壊れない人形を相手にしているようだ。
対する虎杖は上からの強烈な圧力に耐えながら、必死に考えていた。
ヤバいヤバいヤバい!
いつまで続くんだ、コレ!
呪力、早く呪力を!
ミシミシと音を立てる骨、
わずかでも力を抜けば押し潰される。
はたしてどこまで持ち堪えられるか、このまま全力で防いだとしても潰されるまでもう秒読みでもおかしくない。
こんだけの能力だ。
何か……何か日車にとって不利な要素があるんじゃねぇか!?
考えろ!
考えろ!考えろ!!
裁判の術式、
裁判―……!