第22章 呪い合い、殺し合い、
「入店を認めた今、このキャプチャを見る限り、トイレ云々は信じるに値しない。やはり虎杖は18歳未満でありながら遊技目的で入店したとみられる」
「それは……何罪?」
「店は明示的に18歳未満の入店を拒否しているから、刑法130条 建造物侵入罪だ。風営法では未成年自身は処罰されないからな」
「ズルだろ、そんなん。どう言い訳しても意味ねーじゃんか」
となると③自白が正解だったのか?
だが、日車の返答は虎杖の想像とは真逆だった。
「何を言っている。賭博が禁じられている日本では店と換金所は別法人だ。複数店で換金所をシェアしている場合もある。そして問われているのはあくまで『マジベガス』に対する入店のみ」
日車の右手にガベルが出現する。
「君はただ『そんな店知らない』と容疑を否認すれば良かったんだ」
そんなのアリかよ……!
虎杖は頭を抱えたままその理不尽さに歯噛みしていた。
「いや、判決はまだだったな」
日車がガベルで柵を叩くとジャッジマンが静かに告げた。
『有罪』『没収』
次の瞬間に領域が解け、周りの風景が劇場に戻る。
元の空間に戻った……!?
有罪になっちまったけど、
虎杖は戸惑うように自分の両腕を確かめる。
「特に変化は……」
日車が投げつけてきたガベルを防御した時にに否応なくその変化を思い知らされた。
「!?」
腕にビリビリと衝撃が響く。
これは……!
投げつけられたガベルは空中でフツリと消え、巨大化して日車の手元に戻り、虎杖の胴を狙って繰り出され、堪らず吹っ飛ばされ客席を巻き込んで崩す。
あの木槌、自在に出したり消したりできる上、大きさも変えられるのか!
いや、それより……
呪力が練れない……!!
「……丈夫だな」
「それが取り柄なもんで」
崩れた客席から出てくるのを見て感心する日車に対し、虎杖はそう答えた。