第22章 呪い合い、殺し合い、
「ああ、すまない。言葉の暴力は別だ。ジャッジマン、始めてくれ」
あの天秤の式神はジャッジマンというらしい。
それに言葉の暴力……?
すると日車の背後にいるジャッジマンが口を開いた。
『虎杖悠仁は18歳未満にもかかわらず、2017年7月16日 宮城県仙台市のパチンコ店『マジベガス』に客として入店した疑いがある』
「あ?」
いきなり何を言い出すのか。
と思ったが、次の瞬間ふとそのパチンコ店を思い出し「あ」と声を上げてしまった。
「いやぁ〜?あのぉ?そのォ〜……」
虎杖は腕組みをして眉間に手を当て、うんうん唸り始めた。
途端に態度が怪しくなった虎杖を見ても日車は特段気にせず、説明を続ける。
「ジャッジマンは領域内の者の全てを知っている。だが心配するな、俺にその情報は共有されない。判決はあくまで我々2人の主張をもとに下される」
ただし、
「この“証拠”を除いてな」
日車の手に呪力を纏った封筒が現れた。
「これはジャッジマンから提出された本件の証拠だ」
「いつの間に……!」
「“証拠”は必ずしも君の疑いを確定するものではないが、内容を君に教える気もない。その上でこれから君は言い分を述べ、疑いを晴らし、ジャッジマンから無罪を勝ち取らねばならない」
虎杖は目の前にある柵を掴み、日車と彼の胸についている向日葵に天秤が刻まれたバッジを睨む。
裁判の術式……!
それにあのバッジ……
弁護士ってマジだったのか……!
でもやってることは検察っぽくねーか?