第22章 呪い合い、殺し合い、
ここに伏黒や渡辺がいれば説明できたんだろうな、と思いつつ、自分1人だけのこの状況では無いものねだり。
もう最後の手段しか残されていない。
「言い方を変える」
虎杖の拳に呪力が集まる。
「100点を使わせろ、日車」
戦闘態勢になった虎杖を見て日車も浴槽から出てネクタイを締めた。
「気に入らない奴をブチ殺したことはあるか?思っていたより気持ちがいいぞ」
すると彼の背後に黒い布が張られたような大きな天秤が現れる。
その天秤には瞼を糸で縫い留められた人面が浮かび、両腕に相当する部分が天秤の皿になっている。
式神!?
日車は100点保持者だ。
術師を20人殺してるかもしれねぇ。
無闇には飛び込めない、後手に回るか。
どんな攻撃でも対応できるよう腰を落とす。
「領域展開」
―誅伏賜死(チュウブクシシ)―
両者の前に木製の柵が現れ、周囲からギロチンが落ちてきて外界から遮断、領域に囲まれる。
領域に閉じ込められたと認識した虎杖の行動は早かった。
術式を発動する前に倒すべく柵を飛び越し、日車の頭を狙って蹴りを繰り出す。
が、
それは日車には届かず、ピタリと止まってしまう。
「ここではあらゆる暴力行為は禁止されている。お互いにな」
「とっ?」
お互い?
日車が振り上げられた虎杖の脚を退けると、虎杖は最初にいた柵の内側に戻されていた。
元の場所に戻ってる!!