• テキストサイズ

妖刀使いの臆病呪術師【呪術廻戦】

第22章 呪い合い、殺し合い、



秤の時にヘマをしていることが一瞬頭をよぎったが、今回は特段隠し事をする必要はないはずなので、自分達の目的を正直に話した。


「……えーと、端的に。俺達は死滅回游を終わらせたい」


少し鋭くなった日車の視線に慌てて両手を振る。


「あ、タンマ。終わらせるってよりは殺し合いの強制を無効にしたい。そのためのルール追加に日車の100点を使わせてくれ」

「俺も端的に言おう」

日車は浴槽の縁に肘をつきその上に顎を乗せて答えた。

「断る」

「……それも冗談か?」

「いや?俺はただ死滅回游に可能性を感じている。時に法は無力だ。だが、死滅回游の総則はどうだ?俺に与えられた呪術が本物ならば、総則も本物なんだろう」

人の意思が介在せずに裁かれるシステム、
本当にそれが実現しているのならぜひとも確かめたいというのが日車の考えだ。

「告訴も公訴も必要ない。真偽を争うこともなく、総則を犯した者は物理法則のように罰せられたら?……素晴らしいことじゃないか。総則に問題があるのは認めるが、回游の土台の結界術(システム)は見守りたい。すぐ終わってしまっては困る」

裁くシステムもそうだが、科される罰にも興味があった。

「特に総則2と8の“術式の剥奪”は一度見届けたい」


―術式の剥奪―

ルール的にも死ぬと言われていたものだ。
無論日車はそこまで知らないだろう。



これは自らの意思で回游に参加した泳者のみのスケールの話ではない。
現に伏黒の姉の津美紀は強制参加させられているし、回游が進めば結界の外にいる何も知らない一般人が巻き込まれる。

それはなんとしても避けなければならない。


虎杖は懸命に説得の糸口を探した。


「死滅回游はそれ自体が儀式だ。もたもたしてるとこの国の人間全員死ぬぞ」

「……ガセだな。死滅回游は永続を謳っている」


その辺りの矛盾について、天元は“永続”は儀式を中断させないための保険と言っていたが、虎杖は他者に説明できるほど理解できていなかった。



/ 1101ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp