第22章 呪い合い、殺し合い、
「日車寛見?うーん、知らんなぁ」
呪霊を祓い終えて少し落ち着いた頃、なずなが日車のことを尋ねてみたが、高羽は腕を組んで大きく首を傾げた。
「そうですか……」
「きっとヒマワリのような人物なんだな!」
「……絶対違うと思います」
死滅回游が始まって12日目の時点で22人は殺している術師だ。
その中には呪霊も含まれているかもしれないが、それでも高羽が思い浮かべている人物像とはかけ離れている気がする。
コガネに日車の情報を出させ、既に100点取っていることを説明すると、神妙な顔つきに変わり、
「成程……つまるところヒマワリの顔をした極悪人なんだな?」
「ヒマワリから離れてください……!」
大体なぜヒマワリの顔なのか、そもそもどんな顔なのか。
なずなは人の頭がヒマワリに置き換わった様子を想像して首を横に振る。
割と怖い絵面になってしまった。
普通の人間の姿であることを祈るばかりだ。
「君はその日車って奴と一緒にここに来たの?」
「?」
「だって迷子なんだろ?」
そういえば最初に言い当てられてたんだった。
「えっと、そういう訳じゃなくて……」
自分達の目的を伝えるべきか、少し悩んで高羽を見る。
目を覆いたくなるファッションだし、テンションが異様に高いし、言動も奇天烈だし、こっちの話を真面目に聞いているかも怪しいし……
……でも、
見ず知らずの自分を助けてくれたのは紛れもない事実であり、その後の態度も変わらない。
もし泳者としてなずなを殺す気だったなら、呪霊の毒ガスで痺れていたところを狙ったはず。
これまでのことをどんなに細かく思い返しても疑わしいところは見つからない。
信用しても大丈夫。
それに事情を話せば協力してくれるかもしれない。