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妖刀使いの臆病呪術師【呪術廻戦】

第22章 呪い合い、殺し合い、



そんななずなの心境などお構いなしに高羽は今立っている屋上の縁に足を掛けた。


「よし!では行くぞ!」

「えっ、ちょ、まだ毒ガスのこととか……」

「とーうっ!」


制止の声も届かず、高羽は綺麗なフォームで飛び降りてしまう。



そして、


「必殺!ちゃぶ台返し!!」


ボフンッと音と煙を立てて、突然呪霊の真下に大きなちゃぶ台が現れ、高羽が文字通りそれをひっくり返した。


返されたちゃぶ台はすぐ消え去り、逆さまになった呪霊だけが残る。



……えっ?

一体何が起こったの……?


なずなはついていけなかった。
一部始終を見ていたものの、にわかには信じられない光景に固まってしまう。



「ほら、今!今だぞ、なずな嬢!」


高羽の声にハッと我に帰り、驚いている場合じゃなかったと頭を振って呪霊目がけて飛び降りる。


呪霊の裏側は口の部分だけトゲは生えていない。

これならいける……!


全体重も乗せた鬼切の一撃は呪霊の殻を容易く切り裂き、真っ二つに割った。


と同時に煙を上げて消えていく。





「5点が追加されました」


呪霊が完全に消えると、周囲に広がっていた呪力を帯びた毒ガスも消え、どこからともなくコガネが現れていつもの軽い調子とは違う無機質な声でアナウンスしてきた。

呪霊も死滅回游では術師扱いになるらしい。

それなら呪霊だけを狙っていけば人を殺さずにルール追加できるかもしれない。


光明が見えたような気がしてホッと安堵する。




でも優先すべきは日車寛見の捜索と2人との合流。そしてまずは助力してくれた高羽に感謝を伝えなければ。

なずな1人ではこの呪霊は祓えなかったのだから。



なずなは高羽の方へ向き直ると深く頭を下げた。



……のだが、


「高羽さん、ありがとうございま……」

「お、俺の雲丹が消えちまったぁーっ!雲丹飯、雲丹しゃぶ、雲丹御膳〜!!」

「本当に食べる気だったんですか!?」


両手で頭を抱え、ガックリと膝をついて残念がる高羽に開いた口が塞がらなかった。



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