第22章 呪い合い、殺し合い、
高羽の奇怪な衣装にもようやく慣れてきた……というより慣れざるを得なかったなずなは、思い切って切り出した。
「あ、あの、突然こんなこと言って申し訳ないんですけど、高羽さんにお願いがあって……」
「お、何だい?言ってみるといい。女の子のお願いを聞かないなんて男が廃るからな」
「あ、ありがとうございます。この周辺、特に下の方は毒ガスが撒かれてます。原因はこの下にいる呪霊です。このまま放っておけば毒ガスの被害がもっと増えるかも……なのであの呪霊を祓うのに協力してもらえませんか?」
「成程……よし!他ならぬなずな嬢の頼み、しかと引き受けた!」
「ありがとうございます……!」
快諾してくれた高羽になずなは深く頭を下げた。
「そんな畏まらなくたっていいぞ。ところで……」
「?」
「ジュレイって何?」
「えっ!?知らないのに了承してくれたんですか?」
「だって君、困ってたろ?」
「それは……そうなんですけど……」
“呪霊”が何か知らなかったのなら、先程のなずなの状況説明も半分以上訳が分からなかったんじゃないだろうか。
そんな意味不明な説明をされて尚、即答で承諾するなんてなずなからすれば信じられない。
……あ、待って、
呪霊を知らないってことはもしかして泳者じゃなくて回游に巻き込まれた一般人?
で、でも天元様は巻き込まれた非術師は外に出してもらえる機会があるって……
この儀式が始まって日数が経っているし、高羽さんは外に出るのを断ったってこと?
それならやっぱり泳者なのかな?
より謎が深まってしまった気がするが、今はそんなことより毒ガスを噴き出す呪霊の方だ。