第22章 呪い合い、殺し合い、
「それで、君はなんて名前なんだい?」
「え、えっと……」
……こ、こんな露出狂と言ってもおかしくない人に名前を教えて大丈夫なのかな……?
ここにいるってことはきっとこの人も死滅回游の泳者なんだし……泳者、なんだよね?
……あれ?
でもそうだとしたら、探し求めていた現代の術師ってこと?
そ、それなら私の名前を教えて日車寛見さんのことを教えてもらうのが2人と合流するための近道……?
あまりにも衝撃的な衣装と術師とは到底思えない奇天烈な言動になずなの頭は大混乱だ。
口ごもっていると、高羽が何か閃いたように顎に手を当てた。
「さては君……」
高羽の探るような視線にギクリとなずなが固まる。
「迷子なんだな!だからそんな不安そうにしてるんだろ?俺が悪い人間だったらどうしようって顔に書いてある」
「えっ、あの」
「だが心配無用だ。なんたって俺は面白い芸人だからね!」
今の状況をピタリと言い当てられたことにも驚いたが、その後に続いた言葉にも唖然となってしまう。
何が心配無用なのか、全くもって意味不明である。
そして何より勢いがすごい。
なずなでは口を挟む隙がない。放っておいたらずっと1人で喋り続けているんじゃないかと思うくらい。
でもとりあえず害意はなさそうだ。
だったらなずなの選択肢はただ一つ。
彼に協力してもらい、あの呪霊を祓った後、日車寛見を探し出して2人と合流する。
「あ、あの、私、渡辺 なずなっていいます」
「なずな嬢か、良い名前じゃないか。よろしくな!」