第22章 呪い合い、殺し合い、
なずなが諦めかけたその時、
「とーうっ!!」
「なっ、誰!?」
どこからともなく声がしたと思ったら、なずなの目の前にシュタッと人が降り立った。
「俺はヒーローではなく芸人だが、目を真っ赤にして泣き腫らしたボロボロの女の子を放っておくなんてことできないだろ?」
「!!?」
そう言って向き直った男の格好を見てなずなは頭が真っ白になった。
半分裸だ!
上半身ならまだしも右半身が素っ裸!
上から下まで布に隠れた場所がない。
かろうじて右の手袋とブーツは履いているものの、下着はないので際どい所まで見えてしまいそうだ。
「きゃあああぁぁ!?」
「黄色い声援ありがとう!だがちょっとボリュームを抑えよう」
断じて黄色い声援などではない。
・
・
・
「俺は高羽 史彦、君の名前は?」
「……そ、そそ、その前に、ふ、服!服を着てください……」
目のやり場に困り果て両手で顔を覆ったなずながか細い声で訴える。
「このコスチュームはこれで正装なんだ。変える訳にはいかんなぁ。でも君みたいな若い女の子には刺激的すぎるのも事実……よしっ、君はなるべく俺の左側に立つといい、これで万事解決だ」
「何もよくなってないです……」
良い笑顔でサムズアップする高羽になずなは途方に暮れるしかなかった。