第22章 呪い合い、殺し合い、
なずなは鬼切を構えて大きく息を吸って止め、呪霊目がけて真っ直ぐ飛び降りた。
そして鬼切を振り下ろそうとしたその時、
ザシュッ
「痛っ!?」
突然呪霊の体中から無数のトゲが生え、なずなの腕や脚を傷つけた。
鬼切もその長いトゲに阻まれて呪霊には届いていない。
更に、傷ついた箇所に容赦なく毒ガスが触れ、焼きごてを当てられたかと思うほどに強烈に痛んでくる。
まずい、
早く離脱しないと毒が……!
即効性のある毒なのか既に脚が痺れ始めてきている。
懸命に動かすが、毒の濃度が濃いこともあってふらつき、目もまともに開けられない。
手探りで建物の壁に当たり、そこからなんとか上に逃れた。
「ゲホッ、ゲホッ」
生ぬるい毒ガスから脱し、息を吸おうとしたら咳き込んでしまってうまく息ができない。
手足も本格的に痺れており、立ち上がることができず、座り込んだまま懸命に呼吸を整えようとする。
まだ呪霊はすぐ下にいるため、ここまで毒ガスが上がってくるのも時間の問題だ。
早く回復して立て直さないと呪霊の餌食になってしまう。
どうしよう、
私の反転術式って解毒までできるのかな?
傷は治ったけど、全然痺れが取れないし目も痛い。
それにもしあの呪霊が壁を上ってきたりしたら……!
今の状態では逃げ切れる気がしない。
頭の中が焦りに塗り潰される中、浮かんできたのはついこの前のホテルで会話した時の伏黒の顔だった。
……ごめん、伏黒くん、
私、自分から手伝わせてって言ったのに、
もうダメかもしれない……