第22章 呪い合い、殺し合い、
「なんで落ちてるのっ!?」
結界に入った瞬間、自由落下特有の浮遊感に見舞われ、なずなは訳も分からず叫んでいた。
ほんの直前まで地上に立っていたはずなのに地面がない!
「死滅回游の結界は入った時に9つの地点にランダムで転送されるんだ。今回はそれがこの地点だったってこと」
「そんなの聞いてないよ!」
「聞かれなかったからなぁ」
落ちていくなずなの隣をふよふよと浮きながら暢気に答えるコガネに思わず抗議の声が出る。
「そ、それはあまりにも不親切なんじゃないかな!?」
「だってコレ、結界の法則であって総則じゃねーんだもん」
これは死滅回游の総則にはない結界の法則なので、コガネには説明する義務はないという扱いらしい。
そんなコガネに言いたいことがない訳ではなかったが、今はそんな場合じゃない。
いくら傷を治せるといってもこの高さから落ちるのは危険すぎる……!
なずなは身体中に呪力を巡らせ、最大限に強化、鬼切を握り込むと眼下にある高層ビルに突き立て、壁面を切り裂くことで落下スピードを弱めながら最後は街路樹をクッションにして着地した。
すぐに起き上がって自分の状態を確認する。
多少打ち身はあるものの、ほとんど無傷で着地できたことにホッと安堵し、周囲に視線を走らせた。
外から結界の内側は見えなかったが、人や車がいないだけで建物はそのまま残っている。
そして更に重大な事態に気づく。
「あれ?……伏黒くんと虎杖くんは?」
一緒に結界に入ったはずの2人の姿が見当たらない。
よく思い出してみると落下していた時からいなかった気がする。
「だから言ったろ、ランダム転送されるんだって。伏黒恵も虎杖悠仁も別々に転送されてるぜ」
「!?」
なずなは言葉を失った。
それは……非常にまずいのでは?