第22章 呪い合い、殺し合い、
死滅回游への参加を宣誓し、東京第1結界へ侵入した3人は驚愕することとなる。
「げぇ!?」
どこから飛び降りた訳でもないのに、虎杖は上空から真っ逆さまに落ちていた。
しかも……
伏黒も渡辺もいねぇ!?
ついさっきまで隣にいたはずの2人が周囲をいくら見回してもいない。
右を見ても左を見ても、上下や後ろを見ても見えるのは人の気配のないビルや道路、晴れている空のみ。
それでも一瞬でそんな遠くに離されることがあるのかと、懸命に周囲に目を凝らしていると、視界の端にチラチラと何か見えた。
眼下のビルの屋上で揺れている赤い光……
「誘導灯!?」
そちらに気を取られていると今度は虎杖の左手で何か光った。
と思ったら凄まじい速度で腹部に何かがぶつかってきた。
人間だ……!
その人物は虎杖を巻き込んだままビルを2棟貫く。
その先にあったビルの屋上に弾き飛ばされたものの、虎杖は持ち堪えて襲撃者を睨んだ。
先程ぶつかってきたのは頭髪がジェット戦闘機のように変形した女。
襲ってきたということは泳者に間違いない。
器用にその場でホバリングしながら、トランシーバーで誰かに連絡している。
仲間を呼ばれるのはちょっと厄介か。
ビルに突っ込んでも傷一つないヤツには効かないかもしれねぇけど……
さっきビルごと貫かれた時に飛んできていた瓦礫を掴み、呪力を篭めて投げつける。
瓦礫は女の脇腹に命中し、呻き声を上げて隣の建物のガラス屋根を突き破るようにして落ちていった。
それを見た虎杖が首を傾げる。
簡単に落ちたな……?
日車のこと聞かねぇと。
それから伏黒と渡辺も捜さねぇと……
虎杖が落ちた女を追おうとした時、背後からプロペラ音が。
振り向くと頭髪がプロペラになっている男が上空から見下ろしている。
先程女がトランシーバーで連絡していたのはこの男だったのか。
「なんじゃあワレェ!人の女に何しとんのじゃ!!」
「……コッチに聞けばいいか」
虎杖も姿勢を低くし、戦闘態勢に入る。