第21章 ネクストステージ
故人を偲ぶのもそこそこに、秤達に本題である死滅回游について詳細を伝える。
「……分かった、死滅回游の平定には協力する」
承諾の言葉にホッと息を吐く虎杖達。
だがすぐに秤が釘を刺した。
「勘違いすんなよ、情に流されたわけじゃねぇ、これはあくまで取引だ。分かってるか?死滅回游に片が付いたら、オマエらが俺に協力すんだぞ」
「呪術規定の改定にいっちょ噛みしようってんだろ?呪霊の存在が公になった以上、改定自体は確実なんだろうけど、具体的にはどうするんだ?」
パンダの質問に腕組みした伏黒が口を挟む。
「どうあれ、そこまで難しくはないと思いますよ」
「あぁん?テメェに何が分かんだよ、ウニ頭。今、俺に聞いてたろ」
思い描く一大事業を「難しくない」と言い切られ、面白くない秤は伏黒を睨んだ。
しかし、そこから続いた言葉に驚愕することになる。
「俺、禪院家当主です」
「!?」
さらりと告げられた驚きの事実に秤も綺羅羅もこれ以上ないほど目を丸くする。
「あ、そぉ?」
驚きのあまりそんな言葉しか出なかった。
オイオイオイ、マジか!?
4人にゃ悪いが、今日一ビビったぜ。
御三家がバックにつけば、規定の改定に口出しなんてちょちょいじゃねぇか。
……問題はその後賭け試合の運営にいかに禪院家を関わらせないかだな。
「ウニ頭!」
「伏黒です」
「伏黒君、仲良くしようネ!」
「……はい」
現金なことに秤の態度は一転、ものすごくキラキラした笑顔を伏黒に向けた。
伏黒はというと、禪院家当主など誰かに投げられるものならすぐにでも投げたい肩書きだったが、もうそれについては諦めて割り切っていた。
……もういいや、利用しまくろう。
この翌日、禪院家が壊滅することをこの場にいる誰もがまだ知らなかった。