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妖刀使いの臆病呪術師【呪術廻戦】

第6章 真昼の逃避行



東堂の気配が遠ざかったのを見計らってなずなも戻ってくる。
伏黒が心配で居ても立っても居られなかったのだ。


「渡辺、大丈夫そうだな」

「うん、パンダ先輩が受け止めてくれたから……伏黒くんの怪我の具合は?」

「まぁ、なんとか大丈夫だ」

頭から出血していてとても大丈夫そうには見えない。

なずなは真依に撃たれた脇腹が少し痛い程度で、大したことはない。
でもパンダに受け止めてもらえなかったら、相当な高さから転落していたはずだ。


まだ少しふらつく伏黒にパンダが肩を貸し、4人は医務室に向かった。









真依がリボルバーを再装填して向けた先には、倒れた野薔薇。
威勢よく吠えていたが、今は気を失っているようだ。

「呪術師を続けるなら、喧嘩売る相手は選ぶことね?」

薄く笑って引き金を引こうとした直前、横から伸びてきた棍に遮られる。

視線を向けると、家を出て行った双子の姉がいた。


「うちのパシリに何してんだよ、真依」

「あら、落ちこぼれすぎて気づかなかったわ、真希」

「落ちこぼれはお互い様だろ?オマエだって物に呪力を込めるばっかりで、術式もクソもないじゃねぇか」

「呪力がないよりマシよ。上ばかり見てると首が痛くなるから、たまにはこうして下を見ないとね」

「あーあ、底辺同士でみっともねぇ。……野薔薇、立てるか?」

「無理よ。それなりに痛めつけたから、しばらく起きないわ」

そんなヤワな鍛え方をパンダや棘はしていない。


真依は笑みを崩さない真希を睨みつける。

「何よ、やる気?」

そうだよ、でも私じゃない。


そろりと近寄っていた野薔薇が背後から真依にチョークスリーパーを掛ける。

「ナイスサポート、真希さん!」


倒れ込んだついでにホールドも掛けてやる。

「おろし立てのジャージにバカスカ穴空けやがって。テメェのその制服置いてけよ、私の夏服にしてやる」

「くっ、次は身体の穴増やしてやるわよ……!あと、その脚の長さじゃこれは着れないんじゃない?」

真依が言い終わらぬうちに野薔薇の締め上げが強まる。

絶対に落としてやる。



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