第21章 ネクストステージ
「渡辺、綺羅羅さんは呪力に星をつけてる!触られんなよ!」
「うん……!」
まだ星をつけられておらず、自由に動けるなずなは、伏黒が術式の仕掛けを暴くまで綺羅羅を足止めすべく駆け出した。
呪力に星をつけるということは近接戦は避けた方がいい。
そう考えて手当たり次第に車のドアや輪止めを切り取り、そのまま綺羅羅の方に投げつける。
物にも呪力を篭められない都合上、投擲の威力は下がるがこのくらいでも足止めには十分だった。
……しかし割とすぐに限界が来てしまう。
足止めに有効なのは投擲の正確性よりも物量だ。
駐車場に元々止めてあった車や駐車場の柵を切り取って次々と投げていたが、めぼしいものはすべて投げてしまった。
これ以上となると駐車場のロフト部分の柱や床だが、ただでさえ夜間で視界が悪いのに自ら戦う環境を悪くしたくはない。
次なる足止めの手は……拘束だ。
綺羅羅は飛んできた車のドアや輪止めを叩き落とす。
呪力は篭っていないものの、正確なコントロールで次から次へ投げつけてくるのが鬱陶しい。
あの女の子、地味に嫌がらせみたいなことしてくるじゃん……!
まだあの子には星をつけてないから近づかないと何もできない。
でもトゲ頭の子が忠告したせいで向こうからは近づいてこないだろうな……
と思ったら、なずながロフト部分から飛び降りてきた。
投げる物が無くなったのか、手にはシートベルトが握られている。
あれで私を拘束するつもり!?
でも、あっちから近づいてくるなら……!
綺羅羅が横目で伏黒を確認すると、非常口付近の輪止めにつけた最後の星・ミモザに触れるのが見えた。
散々投げつけられて足元に散らばる瓦礫に触れる。
すると瓦礫が浮き上がり、伏黒に向かって真っ直ぐ引き寄せられていった。